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このブログでは、イングリッシュワイン ー特にイングリッシュ・スパークリングワイン(ESW)ー と、イギリスのワイナリーについてご紹介しています。
今回は、前回お伝えしたBlack Chalk Wineから車で約30分、同じくハンプシャーにあるHattingley Valley(ハッティンレイ・ヴァレー)についてご紹介します。
正直に言ってしまうと、こちらのワイナリー紹介はパスしても良いかも...と思ったのです。が、規模の大きいワイナリーなのでワイナリーツアーの受け入れ態勢がしっかりしています。知っていると便利なワイナリーであることは確かです。また、いくつかの受賞歴もあります。
こちらのワイナリーも英国の古都・Winchester -ウインチェスターから車で約30分。ウインチェスター&ハッティンレイ・ヴァレーのコンビネーションもありだと思います。
場所的に車で行った方が便利であることは確かなのですが、田舎すぎて(?)途中でナビが全く機能不全になる、ちょっとミステリアスな場所にあるワイナリーです。
カントリーサイドを運転中に急にナビが方向を示さなくなった時、一瞬、私の脳裏には宇宙人に誘拐される構図が浮かびました👽
· Hattingley Valley Wine(ハッティンレイ・ヴァレー・ワイン)
https://hattingleyvalley.com/ 住所: Wield Yard, Lower Wield, Nr Alresford, Hampshire SO24 9AJ
(車で行く時は、ポストコードではなくGoogle Mapからワイナリーの場所をマークして行く必要あり)

以前、こちらのワイナリーではBlack Chalk Wineのオーナーが製造責任者を務めていました。が、ワインのスタイルは異なります。Black ChalkのESWはエレガントで繊細さがあり、ESW特有の酸味の高さが突出することなく他の要素とバランスよく融合しています。対するハッティンレイ・ヴァレーのワインは、全般的に酸味が立ち、若干バランスに欠けるという印象を持ちました (個人的見解です)。
しかし、ワインは個人の好みが大きく反映される飲み物なので、この突出した酸味がたまらなく好きという人達も、きっといるはずです。
実際、酸味の高さはESWのトレードマーク的特徴のひとつです。(寒冷地で造られるワインですから、温暖な土地で完熟したブドウのようには糖分が上がらないのです。)
ただ、やはり良質なワインには、バランスが非常に重要です。いかにこの高い酸味を、果実香味や泡のクリーミーさ、時には熟成感を与えつつ全体として調和させていくか…これは、イングリッシュワインの作り手さん全員の課題ではないでしょうか。


私の好きな白ワインの一つは、ブルゴーニュ地方北西部のシャブリ(Chablis)です。シャブリも寒冷地ゆえ、酸味が非常に高いワインが出来ます。その酸味は、シャブリのシグネチャーです。そして、やはり上手に造られたシャブリは、酸味だけが目立ちすぎることなく、果実香味とミネラル感、すべてにおいてバランスが良いのです。
話がそれますが、「ミネラル感」と言う言葉が何を表すのかについては、明確な定義がなく漠然としているので、近年専門家の間で論争が繰り広げられているトピックスです。ワインに含まれる良い特徴を表すときに使われますが、ミネラルの味がするわけではないので比喩的に使われるようです。強いて言えば、硬さのあるテクスチャーで、「濡れた石」、「マッチを擦った時の香り」、「金属」などを連想させるワイン、さらに海を感じさせるような塩味が混在していることも多いように思います。ESWにもミネラル感が感じられるワインが多いです。
ところで、ハッティンレイ・ヴァレーのワイン。
この中で私がお奨めしたいのは、英国のフラッグキャリア、ブリティッシュエアウェイズ(British Airways)の100周年記念用に特別にブレンドされたBlanc de Noir 2015です。2015年に収穫されたピノノワール品種100%で造られたワインです。機内では、ファーストクラスでサーブされています。
ラズベリーコンポートや赤い実(赤スグリ)などのフルーツのアロマ、干したアンズ、ブリオッシュ、カシューナッツ、バニラ香、杉の木のようなアロマが溶け合い、酸味の高さもまろやかになっています。良い具合に熟成感のあるワインに仕上がっていて、様々な食事に合わせられそうな印象です。
残念ながら日本未入荷。イギリスでは一本£45。
機会があれば、お試しいただきたい一本です。



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