Production Methods
スパークリング・ワインの製造方法
スパークリング・ワインの製法には、大きく分けると3種類あります。
★トランスファー方式という製造方法は、上記 1) と 2) の中間にあたる製法で、ボトルのサイズによっては、シャンパンでもこの方法を使います。
例: Quart(1/4ボトル)やハーフサイズなど750mlより小さいものと
Jeroboam (3ℓ)以上のボトルサイズ
1)トラディショナル方式(Traditional Method)~別名シャンパン方式
① まず、(大抵)手摘みで収穫したブドウでベースワインを作り(第一次アルコール発酵)
② そのベースワインをブレンドして瓶詰め。そこに糖と酵母を加え(ティラージュTirage)クラウンキャップで密閉
③ これにより瓶内で、再びアルコール発酵が起こり(第二次アルコール発酵)
④ 発酵により瓶内で泡が発生し、スパークリングワインが出来る
⑤ そのまま瓶内で酒粕とともに熟成させる (一般的に9か月~5年程度)
⑥ リドリング Riddling(酒粕を瓶上部に集めるために、瓶の口を下方に向け少しずつ瓶を動かす作業。
ジャイロパレットという機械でオートメーション化が可能)
⑦ ディスゴージングDisgorging(瓶上部に集まった酵母と酒粕を取り除くため、瓶上部を凍らせてからクラウンキャップを取る。泡の圧力で上部に集まった酵母と酒粕が噴出)
⑧ ドサージュDosage(噴出した分量のワインを補充。ここで一緒に糖分を加え、最終的な辛口甘口を調整。糖分を加えずに作る場合もある。)
⑨ コルクとワイヤー(ミュズレMuselet)で瓶に栓をして完成。その後さらに数年、熟成させたりする。
この方法で作られるワイン:
フランス: Champagne(シャンパン), Cremant(クレマン)
スペイン: Cava(カヴァ)イタリア: Franciacorta(フランチャコルタ)
2)タンク方式 (Tank Method) ~別名シャルマ方式
① トラディショナル方式と同様、ベースワインを作り(第一次アルコール発酵)
② そのベースワインをブレンドして瓶詰めせずに、密閉耐圧性ステンレスタンク内で糖と酵母を加えて再びアルコール発酵を促す(つまり、第二次アルコール発酵をタンク内で行う)
③ この際、酵母のかすを取り除きフレッシュで果実味のあるスタイルにするか、酒粕ごと入れてよりリッチでautolytic aroma(酵母=ブリオッシュのような香り)のあるスタイルにするか、選択できる。
④ 泡が発生しタンク内部が5気圧程度まで上昇したら、ワインを冷やすことによりアルコール発酵をストップ
⑤ フィルターで酒粕を濾過してから瓶詰めし、ミュズレMuseletで栓をして完成。
この方法で作られるワイン:
イタリア: Prosecco(プロセッコ)、Lambrusco(ランブルスコ)他。
Asti(アスティ)はタンク方式の変形。 ドイツ:多くのSekt (ゼクト)
一部ニューワールド(オーストラリアやニュージーランド、アメリカ、南アフリカなど)のスパークリングワイン
*トラディショナル方式に比べて、コストが抑えられる方式。フレッシュな果実味を主体とするワインに適する
★トランスファー方式(Transfer Method)
トラディショナル方式とタンク方式の中間的な製造方法で、初期手順はトラディショナル方式①~⑤までと同様。
その後、➅リドリング、⑦ディスゴージングの作業はせず、熟成させたワインをすべてタンクに移して酒粕を濾過する。
濾過したタンク内のワインに⑧のドサージュをして最終的な味の調整を行ってから、瓶詰めし、ミュズレMuseletで瓶に栓をして完成。
この方法で作られるワイン:
フランス: Champagne(シャンパン)のうち、瓶が750mlより小さいもの、Jeroboam (3ℓ)より大きいもの
一部ニューワールド(オーストラリアやニュージーランド、アメリカ、南アフリカなど)のスパークリングワイン
3)炭酸ガス充填方式(Carbonation)
ベースワインを作り(第一次アルコール発酵のみ)タンク内に炭酸ガス(CO2)を注入。
瓶詰めして完成。
*安上がりの製法。低品質の安価な大量生産に適する