答え: ③クリストファー・メレット (Dr Christopher Merrett)
クリストファー・メレット博士(1614-1695)は、イギリス人の医師であり科学者。
彼がスパークリングワインを「発明した」と言うことではありませんが、彼はその作り方を世界で最初に文献に残した人物です。この文献によりスパークリングワイン発祥の地はイギリスである、と認識されるようになりました。
スパークリングワインを発明したのは、かの有名なドン・ペリニヨン (Dom Pierre Perignon)…と思われがちです。ドン・ペリニヨンが、シャンパーニュ地方オーヴィレール(Hautvillers)の修道院で初めて発砲性ワインを作ったとされているのが1697年。
メレット博士は、その30年以上前の1662年12月17日に、ロンドン王立協会(ロイヤル・ソサエティ)の文献に、当時の酒造が発泡性ワインを作っている事実と共にその作り方を書き残しています。つまり、ドン・ペリニヨンが発泡性ワインを作る方法を確立する前に、すでにイギリスでは発泡性ワインが安定的に作られ飲まれていたことになります。(その品質はまた別の問題ですが…)
しかし、ドン・ペリニヨンの功績が、これで消えてしまうわけでは決してありません。彼は、間違いなく「シャンパンの産みの親」であり、ワイン造りの歴史に多大な足跡を残した人物です。
世界で初めてシャンパーニュ地方でスパークリングワイン(すなわちシャンパン)を造り、そして現代でもなおワイン造りに使われるような多くの手法を見出し、ワイン醸造の品質向上に大きく貢献したのは紛れもなくドン・ペリニヨンです。
ちなみに、②のニコラス・ルイナールは1729年、世界で最初のシャンパン・ハウス(メゾン)を創立した人物です。(注:シャンパンハウス、ゴセ (Gosset) は1584年創業と世界最古ではあるのですが、元々シャンパンではなくワインを扱うメゾンとして開業し、のちにシャンパンハウスになった経緯があります。)